まるで人が立ち入ることを
拒むかのような厳しい自然の知床半島。
1000mを優に越える知床連山がそびえ立ち、海岸線は断崖絶壁に。
アイヌの言葉ではシリエトク、「地の果て」と呼ばれていました。
そんな厳しい知床の大自然!
味わってみたくないですか?
決して陸路では行くことの出来ない知床半島の最深部。
観光の拠点ウトロから出てるクルーズ船に乗れば簡単に見れちゃうんです!

こんな絶景見てみたくないですか?
知床半島は山々だけでなく豊かな海も世界自然遺産に登録されています。日本で海が世界遺産に登録されているのは知床半島だけなんです!
そんな世界遺産の海と山!
両方を一気に楽しめるウトロのクルーズをご紹介していきます!
大型船や小型船どっちが良いのか?
どんな景色が見れるのか?
実際に船に乗って体験してきました!!

ウトロクルーズでお世話になった観光船

今回ウトロからのクルーズでお世話になったのは知床世界遺産 クルーズFOXさんです!
ウトロのクルーズには大型の観光船のオーロラから小型のクルーズ船など様々なタイプがあります。
大型のものは揺れが少ない分、船酔いなどもしづらいため気軽さは抜群です。
ただし海岸線から少し沖を通るため間近に野生動物を観察したり断崖絶壁を見ることが出来ません。逆に小型船は小回りが効くため間近で断崖絶壁などを見ることは出来ますが、室内のスペースが少なかったり船が揺れたり気軽さは劣ります。
旅のプランや好みで選ぶのが良いと思いますが……
僕は小型のクルーザーを強くおすすめします!
やっぱり知床まで来たんですから、手軽な観光だけで済ませるのはもったいない。
身近なところで知床の大自然や野生生物を見てほしいです。忘れられない感動を味わえるはず!
ちなみに今回は小型のクルーザーで運行している会社の中でも野生生物を見つけるのに力を入れているというFOXさんに乗りました!
ヒグマはもちろん、奇跡の出会いまで!
そしてイシイルカや野鳥なども解説して頂き、大満足でした!
ウトロクルーズの3つのコース!
ウトロ港から出るクルーズは大まかにわけて3つのコースがあります。
この3つのコースは、それぞれ違う場所に行くわけではなく、知床半島の先端に向けてどこまで行くかという移動距離によって別れています。
つまり知床半島の先端・知床岬まで行くコースに乗れば、
他のコースの魅力を全部楽しめるということです。
カムイワッカの滝コース(硫黄山コース)

ウトロからのクルーズで1番手軽なコースです!
所要時間は約1時間で料金も3000円代と誰でも乗りやすいコースになっていますね。
フレペの滝や様々な奇岩、知床半島の断崖絶壁を間近で感じながら……
カムイワッカの滝で折り返すコースです!
カムイワッカの滝は湯の滝とも言われており、硫黄成分を多く含む天然温泉の滝です。
その硫黄は海の色をエメラルドグリーンに変えるほど強く神の水の滝と昔からアイヌ民族に大切にされていた滝です。
ルシャコース(ヒグマコース)

ルシャコースは「カムイワッカの滝コース+ヒグマ探し」のコースだと思って下さい!
知床半島の地形を楽しむのはもちろん、プラスしてルシャ湾というヒグマの聖地で野生のヒグマを探します。
このルシャ湾というのは知床半島のちょうど中央あたりにあり、ヒグマの聖地と言われるくらい多くのヒグマが生息しているエリアです。
ウトロのクルーズ船の運行期間は常にヒグマとの遭遇率は80%を越えていて、高確率で野生のヒグマを見ることができます。
所要時間は約2時間、料金は5500円前後の船が多いです!
知床半島でヒグマを見たい人はぜひ、このコースをおすすめします!
知床岬コース

ウトロから出るクルーズで1番長く知床半島の先端、知床岬まで回るコースです!!
このコースはウトロ側の絶景、ヒグマ捜索、海洋生物の捜索、すべてを満喫してしまおうというクルーズです!
とにかく知床半島の大自然をあますことなく感じたいとい方におすすめのコースです!
知床岬へは道路は繋がっていないため限られた登山家のみ徒歩で行ける場所です。
普通の人にとってはウトロからクルーズで行くしかないでしょう。
遠くには北方領土の国後島を望むことができます。
今回僕は知床半島のすべてを満喫するためこのコースで楽しみました!
実際に乗ってみた!

それでは実際に行ってみましょう!
今回、僕が乗ったクルーズ船は野生動物を探すことに力を入れているとういくFOXさんの知床岬コースです!
所要時間は3時間、料金は8000円でした。
ウトロ港を出港して、そのまま知床半島を先端方面に進んでいきます!
海上は陸よりも冷え込むことが多いです!
普段より1枚多めに着込むことをオススメします!

クルーズ船に乗って1番最初に出てくるのは知床八景の1つプユニ岬です!
プユニとはアイヌ語で「穴の空いた」という意味です。
見て分かる通り岬の途中に穴が空いて特徴的な形をしていますね。
このプユニ岬、ここから先は道路も通っていない断崖絶壁のエリアです。
この先は荒々しい地形の広がっていき大迫力な景観になっていきます。

こことかスターウォーズに出てきそう!笑
ホントに映画のワンシーンになりそうな断崖絶壁の連続です。
ちなみに、この写真の奥にはフレペの滝という知床八景の1つで有名な滝があります。
フレペの滝は地面の下の岩盤を伝ってホロホロと流れる姿から「乙女の涙」とも呼ばれています。

フレペの滝へは陸からも行くことができ、滝を上から覗きながら眼下に広がるオホーツク海もなかなかの絶景ですよ!
陸からの行き方は、ぜひコチラのブログを参考にして下さい。

なんかオホーツク海って言葉にロマンを感じてしまう!笑

断崖絶壁は柱状節理という縦に柱状に割れた特徴的な地形をしています。
これはマグマが冷え固まった時や地殻変動が起こった際にできる特殊な地形なんです。

他にも岩盤から水が滲み出ている場所も多くあります。
色が少し緑がかっているのは滲み出た水に硫黄分が含まれているため。
この岩盤の上には知床五湖があり豊富な湧水をオホーツク海に注いでいます。

そしてこの断崖絶壁にはカムイワッカの滝もあります!
カムイはアイヌ語で「神や神聖なもの」、ワッカは「水」を意味し古くからアイヌの人々に崇められてきた滝でした。
このカムイワッカの滝の水は天然の温泉になっており約30℃の水温になっていて豊富な硫黄分を含んでいます。
そのため湯の滝が注がれた海はエメラルドグリーンに輝き、神秘的な景色を作ります。

これだけ色が変わるなんてホントに不思議な光景ですね。
カムイワッカの湯の滝がオホーツク海に注ぐ様子はウトロのクルーズ船に乗らないと見れない絶景です!
ちなみに、ここまでが1番最短のコース、カムイワッカの滝コースです。
このコースの人はここでUターンして港に戻ることになります。
ルシャ湾コースへ

ここからは一旦、陸沿いを離れヒグマの聖地ルシャ湾を目指して船を走らせていきます!
ルシャ湾は断崖絶壁の続く知床半島で数少ない開けた場所で流れる川にはカラフトマスやシャケが遡上することから多くの生物の楽園になっています。
ヒグマの個体数も多くヒグマの聖地とも言われています。

早速、ルシャ湾に到着するとヒグマが見つかります!
先に他の船が見つけていたので、その後ろから!
なんと今回出会ったヒグマは親子でした!!
わかりますか?2匹いるのが!
親は有に2mはあろうかという大型の個体です。


船の上からで良かった。
船の上から観察になりますので場合によってはヒグマがめちゃくちゃ小さく見えることも。双眼鏡などのレンタルがあるので先に借りておくと良いでしょう。
写真は400ミリの望遠レンズで撮ってこの大きさです。
もう少しドアップで撮りたかった・・・!

漁師さんが利用する番屋などを見てルシャ湾コースは終わりです!
ここの番屋は後ろにある滝を利用して発電しているそうです。
そして、ここから知床岬へ向かおうとした瞬間に
奇跡が起こったんです!!
ウトロクルーズでの奇跡の出会い!

なっ…..
なんと…….
野生のシャチと遭遇!!
知床半島というと野生のシャチが見れることでも有名ですが、シャチが見れるのは太平洋側にある根室海峡、羅臼町から出るクルーズです。
オホーツク海側、ウトロから出るクルーズで見れるのはめちゃくちゃ貴重なんですよ!
確率的には数年に1度あるかないかだそうです。
しかも僕は羅臼側でシャチが見れず、がっかりしながらウトロの地形やヒグマを楽しむクルーズに乗ったんです。
まさか、ここで出会うとは!奇跡!!

もう興奮しすぎて夢中でシャッターを切ります!
すごくないですか?近くないですか?
正直、うまく撮ろうなんかよりも、あまりの嬉しさに気持ちが先走ってしまいました!笑
ホントに嬉しかった。

ふと船の反対側を見ると、めっちゃいる!!!
いつの間にか20頭くらいのシャチの群れに囲まれていました。
出会えただけでも超幸運なのに……
神様本当にありがとう。
続いては、立派な背びれを持つオスまで現れました。
大きさも迫力も他のメスとは桁違い。
このオスのシャチも威風堂々と泳いでいました。
カッコイイ。。。

極めつけは、この距離でシャチがブローしています!
もう船の真下ですよ。
シャチの”ぶおっ”ていうブローの音がハッキリ聞こえてきます。
こんな幸運あっていいんですね!
涙がでるほど嬉しい経験でした!
船の上も歓喜大爆発!
お年寄りの方から若い方、外国からの観光客までみんなで喜んで叫んでいました。
なにか感動体験を共有して人が喜んでる姿ってホントに素敵ですよね。
さて、気を取り直して!!
いざ知床岬へ!

完全にシャチでコースや予定が狂ってしまいましたが……
本来の目的であった知床岬を目指します!
途中でカシュ二の滝という知床で1番美しいとも言われている滝を見ることができます。

落差は30mほどの滝ですが、この滝は迫り出した岸壁から流れ落ちるため、他の滝とは違い直接海に注ぎます。
つまり滝壺が海なんですね。
だから、どうしたという話かもしれませんが直接海に注ぐ滝って意外と珍しいんですよ!

そして知床岬に到着!!
今まで断崖絶壁だった知床半島の先端は急に開けて草原になっています。
知床岬になぜ木が生えていないかというと、吹き付ける風が強すぎて木が生えていることが出来ないからなんだとか。
そんな荒々しさと神聖なオーラを知床岬からは感じることができます。
いつかこの草原の真中に立ってみたい。
遠くには北方領土の国後島を望むことができます。

今はロシアの実効支配化にあり、簡単には行けない場所です。
写真に写っているのは爺爺(チャチャ)岳で国後富士とも呼ばれ、知床半島から見ることの出来る大きな活火山です。
ここまで来たら、あとはウトロ港を目指して戻っていきます!
帰りは海洋生物を探しながら進んでいきます。
沖から見る知床半島も絶景!!

帰りは岸から離れた場所を進んでいきます!
この遠くから見る景色も非常に良いんです。
こんな感じに知床連山をすべて眺めることもできます。
この日は快晴で青空に知床連山が良く映えますね!

カムイワッカの滝も沖から見ると、真上に硫黄山があることがわかります。
めちゃくちゃ絶景じゃないですか!?
遠くから見る景色も迫力あって良いですね。

オホーツク海で見れる海洋生物といえば、イシイルカですね!
世界で一番生息しているエリアともいわれています。
イシイルカの泳ぐ速度は非常に速く時速55キロに達することも。
波しぶきを立てながら高速でジグザグに泳ぐ姿はイシイルカ独特な動きですね。
水族館で見ることは出来ないイルカです。

他にも知床半島の断崖絶壁は野鳥の子育ての場に最適で多くの野鳥が生息しています。
ケイマフリや外洋性のカモメがいたり、写真は飛ぶ前に海を走りながら助走をするハシボソミズナギドリです。
帰りは景色だけでなく知床の豊かな自然の中に生息する生物たちにも目を向けるとより楽しむことが出来ますね!

そうこうしていると、ウトロクルーズも終わり港に戻ってきました!
3時間という長いコースでしたが、常に絶景続きで全く飽きません。
海況も穏やかだったため船も揺れず、船酔いしている人もいませんでした。
小型のクルーズ船は揺れたりする可能性が高く気軽さにかけるという記事も多いですが、全然そんなことないですね!
まとめ

今回は奇跡的にシャチとの出会いもあり、
奇跡的な出会いのあるクルーズになりました。
こんなことは滅多にあるわけではありませんが、野生生物でいうとオオワシやトド、ミンククジラやザトウクジラといったシャチにも劣らないほど珍しい生き物が見れることもあります。
また、海洋生物はあくまでオマケ!
まるで人間を拒むような厳しい大自然の知床半島を海から回ることで一望でき、
その圧倒的な大きさに感動する景観が本当にすごいです!
ぜひ、あなたも北の大地の最果てに。
大自然を感じにやってきてみて下さい。
今回はウトロ側から出るクルーズについてご紹介しました!
ウトロ側はオホーツク海に注ぐ滝やダイナミックな景観が見ものですが、野生生物をみるなら、やっぱり羅臼から出るクルーズがオススメです!
冬はオオワシ、初夏はシャチ、夏にはマッコウクジラも現れる!
そんな生物好きにはぜひ、コチラの記事も合わせて読んでみて下さい。
知床ウトロで流氷ダイビングしてきました!
冬の知床の様子をYouTubeにてVlogで紹介してますので合わせてみてください!