沖縄本島の最北に位置する辺戸岬。
東シナ海と太平洋が激しくぶつかり合ってできた波が断崖絶壁に打ち付け、激しく跳ねる様子はダイナミックな沖縄の大自然を感じることができます。
なんと!この辺戸岬にはダイビングをする人にしか見ることの出来ない水中鍾乳洞があるんです!
その景観は青の洞窟より美しく、セノーテのような神秘さがあるんだとか。
そんなこと言われたら気になっちゃいますよね。
やってきちゃいましたっ!
こんにちは。
水中写真家しげです!
僕は今、沖縄本島最北の地、辺戸岬に来ております。
冬の時期は北風が強く海が荒れてしまったり、ダイバーが少なく船が出航しなかったり、なにかとダイビングしづらい辺戸岬です。
なんと予定していた3月14日は運よく海況に恵まれ、ベストコンディション!(夏は海況穏やかです。)
辺戸岬でのダイビングは、思わず他人に語らずにはいられない出来事が満載でした!
アドベンチャー感あふれる辺戸岬ドーム(水中鍾乳洞)を中心に、大物、マクロや圧巻の地形など辺戸岬のダイビングの魅力を徹底解説します!
辺戸岬のダイビングスタイル
辺戸岬でダイビングをする際、ダイビングショップに申し込みをしますが……
「やんばる」と呼ばれる沖縄最北の国頭村には、ダイビングショップはないんです。
そのため名護市や本部町にあるダイビングショップに申し込むのが良いでしょう。
僕が沖縄北部で潜る際はいつもフィールダイブの宮原さんにお世話になっています。
名護市や本部町からは辺戸岬まではダイビングショップの車でさらに1時間、沖縄本島を北上します。
船は宜名真(ぎなま)漁港という港から出航し、写真のような平船になります。
船の縁が低いのでバックロールでエントリーしやすいです。
ちなみに辺戸岬のダイビングでは、ボートをアンカリングしないドリフトダイビングが基本になります。
そのため初心者の方はボートダイビングに慣れておくか、事前に現地のショップの人と潜っておくなどすると良いでしょう。
ダイビングポイントは4か所あります。
港からポイントまでは1番遠い辺戸岬キャニオンで約20分、辺戸岬ドームや二神岩は10分ちょっと、茅打バンタは5分と比較的近いので、1本1本ダイビングが終わる度に港に戻ってくることができます。
ちょっと忙しくはなりますが、サーフタイムの間にカメラのレンズを変更することも出来ますね。
やっぱりここ!辺戸岬ドーム
ここだけは絶対外してはいけないポイントといっても過言ではない辺戸岬ドーム!
むしろ、このポイントしか知らない人も多いのではないでしょうか?
日本で唯一潜ることのできる水中鍾乳洞があります。
断崖絶壁の水深12mに空いた穴から水中洞窟へ潜り、顔を出すことのできるエアスペースがあります。さらに奥へ進むと洞窟はかなり長く、最深部では一切光の届かない真っ暗闇です。
水中ライトを頼りに洞窟の最深部に向かうドキドキ感やワクワク感は普段のリラックスしたダイビングとは違い、まるでアドベンチャー!
ダイビングが日常になっていた僕にはダイビングってやっぱり冒険だな~と感じました。
まずは断崖絶壁の中でも入り江になった穏やかな部分でエントリーします。
壁に沿って潜降していくと水深は10ⅿ程です。
あ、気付きました!?
この写真は水面から撮っているんですが、水深10ⅿがくっきり写真に。めちゃくちゃ透明度が良い!
そうなんです。辺戸岬は沖縄本島でもトップレベルの透明度を誇っているんです。
潜っているだけで気持ち良い。そして絵になるんです。
ちょっと泳ぐと水深12m前後の入り口に。
ここからは光の少ない洞窟に侵入するので水中ライトは必須!みんなちょっと緊張しながら、ライトを付けて洞窟に入って行きます。
ブリーフィングでは、洞窟内から入り口を見ると青の洞窟よりもキレイなんじゃないかと宮原さん言っていましたが、振り返ってみると正直そんなにすごいキレイってわけでもないと思いました。
※のちのち、この発言に後悔するくらい感動します・・・笑
洞窟内部はかなり広いです。6人チームで入っても狭いと感じることはありませんでした。
最初から鍾乳洞というよりかは、まずは岩盤みたいな感じでした。
でも普通の洞窟とは雰囲気が全然違います。
ちなみに洞窟内部には雨水などが滴ってくるため淡水が多く混じり、まるで宙を浮いているのかというくらい透明度が良くなります。夏などは洞窟内部と外で水温が2度以上変わることもあるんだとか。
どんどん奥に進んでいきましょう!
少しづつ岩肌が鍾乳洞っぽくなっていきます。
ホント不思議な景色です。この頃には太陽の光は届かず暗闇です。
透明度が良すぎて水中にいるというより浮いている感覚に近いです。
出ました鍾乳洞!
約2万年前にできたともいわれる地形です。異様な雰囲気を放っていますね。
さて、ここまで来たらエアドームに顔を出します。
ゆっくりゆっくり浮上すると、こんなに広い空間が!
水面でおしゃべりすることもできるのですが、あまりの神秘的な空間につい無言で見上げてしまう。
早朝の神社とかの”しーん”としたような厳かな雰囲気。
振り返るとこんな感じ。天井はかなり高く岩盤を伝って湧き水が垂れてきます。
この空間のどこかに、辺戸岬ドーム内でしか発見されていない目のないコオロギが住んでいるんだとか。
一体どうやって内部に入り込んだんでしょうか?独自の進化を遂げたということでしょうか?
とにかく不思議ですね。
さて、もう一度潜降をしてドームの最深部を目指していきます。
ここから先は地面が泥になってくるので中性浮力には細心の注意を払いましょう。
すると地面からニョキニョキと伸びるような鍾乳石が姿をあらわします。
一体どれだけの年月をかけて、この地形が作られたんだろう。
そして、どうやって海の中に沈んだんだろう。
水中でこんなにも時の流れを感じたのは初めてでした。
さて、そろそろ帰りましょう。
もと来たルートをたどって帰って行くと……
海が青いっ!!
暗いところに慣れた目にはまぶしいくらいの青さ。
そしてまるで流星のように舞うハタンポが美しい。
青の洞窟より美しいとは帰りに見た景色のことだったのか。
「こんなもんか」と思ってごめんなさい。
普段のダイビングとは全然違った神秘的でアドベンチャーなダイビングでした!
ソフトコーラル華やかな茅打バンタ
茅打(かやうち)バンタは港から1番近くのポイントで、小さな湾になっています。他のポイントが荒れていても、ここなら潜れるということもある比較的穏やかなポイントです!
特徴としてはソフトコーラルが非常に華やかで、沖縄には珍しいトサカ類が群生しています。まるでモルディブや伊豆のような光景ですね。
マクロ生物も充実しており、アケボノハゼやハナゴンベがたくさんいます。
今回はマクロ派ダイバーの後輩と一緒に潜ったので、アケボノハゼを狙いに水深30mまで降りて行きます。
あっちにもこっちにも!といった感じに合計8個体くらいアケボノハゼがいます。
探せば、もっと余裕で見つかるハズ。
ワイドレンズしか持っていない僕は、後輩の寺島君が楽しそうにアケボノハゼを撮っているのを横目にボーっとアケボノハゼを観察します。
あ、魚眼レンズで撮ってみました(笑)
遠いですが大きめのアケボノハゼが中央に2個体写っているのわかりますか??
無理矢理ですので、寺島君が撮ってくれた写真がこちら!
すっごい!キレイ!
うらやましい・・・。
次はマクロも持って来ようと決意しました!
次はソフトコーラルゾーンへ!
ピンクのトサカが群生しているゾーンにはタテジマヤッコやスミレナガハナダイなんかが群れています。
ハナゴンベのちびがいたり、ワイドに撮ってもマクロに撮っても面白そうなポイントですね。
このまま、ゆっくり深度をあげていくと・・・
なんと1mはあろうかというアカウミガメが登場しました!
アオウミガメやタイマイは沖縄ではよく見れますが、アカウミガメは珍しい。
そして奇跡は続きアカウミガメの後ろからニタリが姿をあらわしました!
全員アカウミガメに注目していましたが、突然のニタリに大興奮。
あまりの興奮に思いっきりタンクを鳴らしてしまい、ニタリが逃げていきます。
それにビックリしたアカウミガメも逃げてしまい、「二兎追う者は一兎も得ず」ということわざ通りに両チャンスを逃してしまう。
またも悔しい!
そのあとは辺戸岬のダイビングらしく断崖絶壁をなぞるように泳ぎエキジットしました。
アカウミガメやニタリが出現する爆発力があるなんて聞いてないですよ(笑)
アケボノハゼも撮りたいし、もう一度リベンジしたいポイントNo1です。
奥が深い。
猛々しい海にそびえ立つ!二神岩
二神岩は水深40mからそびえ立つ2対の大きな岩がダイナミックな地形ポイントです。
ナポレオンなどの大型の魚やマグロなどの回遊魚が回ってくることでも有名で、潮通しの良い場所です。
まず潜ってみた感想がとにかく透明度が良い!
40mはあるんじゃないでしょうかと思ってしまうほど。
エントリーは上のような写真の穏やかな場所でエントリーするのですが、岸壁の陰と太陽の光が織りなす明暗差が非常にキレイ!
何度も言いますが、透明度がめちゃくちゃ良くて気持ちいい。エントリーポイントだけで1ダイブできますよ(笑)
とは言いつつ、ここからドリフトしながら二神岩を目指します!
出た!
あまりの大きさに辿り着いた瞬間に「コレだ!」ってわかります。
そのくらい圧倒的な威圧感のある根です。
さあ、みんなで近寄って行きましょう!
根の中層にはカスミチョウチョウウオが群れています。
チョウチョウウオの中でも白と黄色が鮮やかで群れているので写真の撮りがいがありますね。
実はちゃんと撮ったことがなくて嬉しかった。
根のトップに上がっていくと、キンギョハナダイが群れています!
水温の低い冬の時期なので、ハナダイ量が少ないですが、それでもキレイで華やかな景色が楽しめます。
サンゴやホヤ、カイメン類で岩肌が華やかなのも写真映えして良いですよね!
二神岩の周辺で遊んだ後は、岩から離れて安全停止を始めます。
根から離れた後もグルクンの群れが現れたり、気が抜けない感じがしました。
辺戸岬ではジンベエが出たこともありますからね。
常にアドレナリン全開で潜れるポイントだと思います!
まとめ
とにかくケタ違いに大迫力な辺戸岬のダイビング!
ちょっと、潜りたくなりませんか?
辺戸岬キャニオンはまだ僕も潜れていませんが、1番ダイナミックで大物の遭遇率も高いと現地の船長は言います。
一体、どんな海なんでしょう。めちゃくちゃ気になる。
まるで大冒険のようなダイビング!
緊張感をもってドキドキ、ワクワクのダイビングをする魅力を再確認できました!
もちろんリラックスしてのんびりするダイビングも好きですが。
水中鍾乳洞はもちろん、ダイナミックでワイドな地形から魚影、そしてアケボノハゼがわんさかいるなどマクロも充実。もはや、これ以上何を望むのかというくらい最高に楽しい海だと思います!
ぜひ興味ある方は行ってみてくださいね!
それでは良きダイビング旅を!
2019年9月更新
辺戸岬でマクロダイビングもやってきましたが超面白かったので合わせて読んでみて下さい!
取材協力:フィールダイブ
名護市にあるダイビングショップ。オーナーの宮原さんは名護出身で地元の海に精通している。自身もかなりのフォト派ダイバーで、いつも旬の被写体を紹介してくれ、最高なシチュエーションを演出してくれます。本当にいつもお世話になっております。今回もありがとうございました。
他にも沖縄本島北部の海でダイナミックなポイントとして沈船エモンズもおすすめです!
1番人気の水中鍾乳洞
水深40mからそびえ立つ2つの大岩と魚影
見事なソフトコールと豊富なマクロ生物
大物を狙ったドリフトポイント