奄美大島のダイビング | 心の底から癒される海の日常を

奄美大島のダイビング風景

奄美大島の海は本当に穏やかで、心落ち着く美しい風景の海。

白い砂地に青い海、そしてサンゴ礁が広がり、魚たちが群れる。

もちろん奄美大島の自然が豊かなのは間違いないんですが……

奄美大島のダイビングショップ・ネバーランドの存在も大きい!

茂野と古田直己
ネバーランド代表 古田直基(ちょっくん )と茂野

ちょっくんの大事にする、のんびりとゆったりとしたダイビングや、海に対しての”お邪魔します精神”、そして珍しい生き物よりも奄美大島の日常の海を面白くといったガイドスタイル。

そんな素敵な考え方が、奄美の海に来るとよりリラックスして撮影できる理由でしょう。

僕も大好きな世界観で……ちょっくんとは潜っていて本当に気持ちがいいんです。

ふざけるちょっくん
ふざけて被写体越しに映り込んでくるちょっくん

もちろん、撮影自体には本気で取り組んでいるのですが……

時にはふざけて楽しんだっていいじゃない!

気楽に行こうぜ。

そんな気分にさせてくれるこの奄美の海。

ただ、ちょっくんはこう見えて、ガイド会に所属する凄腕ガイドでもある。

前半は、奄美大島の癒しの光景を紹介しながら、独特なちょっくん視点の奄美大島の海を。
後半は、観察できた独特な生き物や生態シーンなど、少し奥深い奄美大島なんかをお伝えしてきます。

奄美大島はオアシスのような癒しの海

デバスズメダイとサンゴ

今回の舞台は、奄美大島北部エリア。
その名の通り、奄美大島の北部に位置し、東シナ海側に開く笠利湾の湾内がメインのエリアになります。

そのため風に非常に強い上に、流れがあまりない穏やかな環境の中でダイビングを楽しむことができるんです。

ここで紹介している写真は「オアシス」というダイビングポイントで撮影したものなのですが、まさに海の中のオアシスのような白い砂地の中にポツンとある根に集まるデバスズメダイの群れ。

ここに立ち寄ると、ずっと見ていられる。

白い砂地とサンゴ

こういった白の砂地にサンゴの根があるポイントは慶良間諸島が有名ですが、奄美大島にもあったんです!

このポイントの最大水深は8m前後と非常に浅いのも特徴的です。

奄美大島の海でちょっくんの選ぶダイビングポイントは、ゆったりダイビングを楽しんでもらいたいというコンセプトから水深が浅めのポイントが非常に多い。

だからこそゆったりと撮影に集中できるんですね。

フタスジリュウキュウスズメダイ

マクロで見ると、デバスズメダイの群れの中にはフタスジリュウキュウスズメダイが混じっていたり、

キンギョハナダイ

キンギョハナダイのメスが混じっていたりと本当に見ているだけで癒される。

フォト派のダイバーにはたまらないシチュエーションですね。

ネバーランドのダイビング風景

こんな感じに、みんなで1つの根を囲んで、じっくり楽しみます!

少し離れて浮いて楽しんでいるダイバーもいれば、ちょっくんの紹介するスレートを見ているダイバーもいれば、撮影を楽しんでいるダイバーもいる。

まさに、この美しい海で自由な感じがネバーランドらしいなと思える光景です。

奄美大島のダイビング風景

フォト派ダイバーへの配慮も忘れません。

ちょっくん自身も写真や映像をガッツリやるガイドなので、フォト派ダイバーが満足するシーンもたくさん作ってくれます。

みんなで根を囲んで楽しんだあとは、フォト派ダイバーはそこに残り……。
ゆったり楽しみたいダイバーは根の周りの砂地の生き物を見るなど、ものすごくいい感じで調整をしてくれます。

だからフォト派ダイバーも周りに気を使い過ぎずに済むし、カメラをやらない人もフォト派ダイバーに気を使わずに全力で楽しむことができる。

各々が気持ちよく楽しめる環境を作り出してくれるんです!

白化したサンゴ

他にも奄美大島は珊瑚がもりもり元気なポイントも多いです。

写真は2022年の秋の一部白化したサンゴですが、いまは元気に復活。

このポイントも気持ち良過ぎて、80分近く潜ってしまいました……笑。

アオウミガメとの遭遇率90%以上

奄美大島のアオウミガメ

奄美大島の海は高確率でアオウミガメに出会える!

しかもビーチで非常に浅い水深のため、シュノーケリングや体験ダイビングでも見られるそうです。

なんと遭遇率は90%以上だそうで、初心者ダイバーにはめちゃくちゃ嬉しいと思います。

アオウミガメの半水面

アオウミガメというとベテランダイバーは、「どこにでもいるじゃん」と思う方も多いと思うのですが、奄美大島ではアオウミガメが見られる水深が本当に浅いんです。

この写真も水深1m以内でした。

つまり半水面の写真や息継ぎをした瞬間を狙うなど、普段見られない、撮れないようなアオウミガメの仕草を観察できるんです。

実際この写真も、水底に立った状態で撮影をしています。
なかなか他のエリアではこんな写真は撮れないんじゃないかと思います。

真夏のスコーンと晴れた日や、朝日が昇るタイミングを狙うなど、個人的には絶対にもう一度撮影に訪れたいポイントだなぁと思います。

アーティスティックな表現!独自の世界観のガイドスタイル

カクレクマノミ

さて、ここまでは奄美大島の癒しの部分を多く紹介してきましたが、ここから先はちょっくんが見せる奄美らしさを。

まずはアメイジングイソギンチャクとちょっくんが呼ぶ、白化し蛍光色になってしまったイソギンチャク!

まさにアメイジング、驚くような鮮やかさの色をしています。

奄美大島北部は湾の浅瀬にあるダイビングポイントが多いです。
そのため時折白化現象が起き、イソギンチャクが蛍光色になることがあります。
(翌年に訪れた時にはイソギンチャクが元の色に戻っていました。)

白化現象は喜ばしいものではないと思いますが、個人的には、自然の成り行きでなってしまっているものは、目を背けるでも嘆くでもなく、楽しんでいいんじゃないかと思っています。
もちろん、傷つけるのはダメですけどね。

カクレクマノミ

蛍光イエローになるものもあれば、こんな紫になる色もあったり、

ハマクマノミ

オレンジ色になるイソギンチャクもあります。

本当にこの色合いは自然が作りだすアートのよう。

この色を見つけては「この色は〇〇色」とか、丁寧にちょっくんが教えてくれるので、どんどん撮影したくなる。

ハナビラクマノミ

そんな中で生まれたのが、この写真です。
ちょっくんがスレートで「青抜きできるシチュエーション」と書いてくれたのがきっかけで、青を入れた時にイソギンチャク先端の黄色だけじゃなくて、根の部分の赤色にも気付けました。

そして写真に3色をいい配分で入れようと意識することで撮影できた1枚です。

水深が浅く、じっくり撮れるし……
新しい目線をくれるちょっくんのガイドだからこそ、
写真に遊び心やアイディアが生まれるんです。

イシガキカエルウオ

そして再び訪れた時にも、ついつい遊び心を入れたくなって、さっきのハナビラクマノミの写真をオマージュして3色に。

実は後ろの緑色のサンゴの色、本来は緑色のサンゴじゃないんです。
黄色のサンゴなんです。

これは少し難しい技を使っていて、黄色のサンゴに海の青を乗っけて(ライトを当てない)ことをすることによって黄色と青が混ざって黄緑色になるんです。

そんな技もじっくり撮らせてくれる奄美の海だからこそやりたくなりますね!

ヒメハナギンチャク

他にもアメイジングイソギンチャクをオマージュして、ヒメハナギンチャクを撮ってみたりと……

「この光景、どう撮る?」とか「ここ変わってんねん」とかちょっくんから、水中でもたくさんの振りが来るので、「んんん〜〜」とか悩みながらそれを表現していく時間がとてつもなく楽しい。

水中をガイドしてもらっているというよりは、
ガイドという作品を見せてもらっている。

そんな気分になるのがちょっくんのガイドだなと思います。

奄美の日常を伝える優しいガイド

クマノミ

他にも奄美に来て、ちょっくんのガイドで好きなところが、珍しい生き物よりも奄美大島の日常の生き物の面白さや風景を伝えるというところ。

確かに珍しい生物を見たい気持ちは僕もあるし、大切だと思う。

だけど、そのエリアに当たり前にあることこそ、そのエリアの特徴なんだなと再認識させられました。

カンザシヤドカリ

でもね、ただ当たり前の生き物を紹介してもらうんじゃなくて、「ここ優太色っぽいねん」なんて言われてカンザシヤドカリを紹介してくれたり、

ウルトラマンホヤ

「めちゃ撮りやすいとこにウルトラマンホヤおるねん」とか、

バサラカクレエビ

「エビカニガイドブックの表紙ばりのバサラカクレエビ」など、多くいる生き物たちだけど、そこにある環境の特徴だったり、面白さを教えてくれる。

それが生き物の動きの面白さだったり僕のようにカメラマンやフォト派ダイバーの場合はシチュエーションの面白さだったりすることが多い。

アカスジウミタケハゼ

僕が今回1番ヒットしたのはミズタマサンゴの上に乗ったアカスジウミタケハゼ!

この後ろの海の水色が綺麗にのっかってきた時のミズタマサンゴの美しさは半端ない。

そして伊豆にもいる生き物だし、どこにでもいる生き物なんだけど、奄美らしいシチュエーションで紹介してくれるから嬉しくなっちゃいます。

フタスジリュウキュウスズメダイ

他にもじっくり撮れるシチュエーションでは、ヨスジフエダイをバックにフタスジリュウキュウスズメダイを狙ったりと、とにかくいろんなシチュエーションで撮影ができる。

テングカワハギ

サンゴの上のテングカワハギ。

ベンケイハゼ

ピンクの岩に隠れるベンケイハゼ。

モウミウシの仲間

砂地に生えるコテングノハウチワに隠れるモウミウシの仲間。

こんなにバリエーション豊富な奄美の海で自分の好きなシーンをじっくり狙うことができる。

自分だけの写真が撮れたら本当に嬉しいですね!

奄美大島で見られる独特の生き物たち

タンザクハゼ

個人的に奄美大島の海で好きなのが、これだけ南国っぽい癒しの光景が続いたのに、すぐ隣には砂泥質のポイントがあり、ちょっと変わった生き物を観察できることです。

上の写真はタンザクハゼという泥地に潜むハゼの仲間。

ぬぺっとした体が泥地の薄暗い海底からひょこひょこと出ている姿は、なんとなくお化けのようで可愛らしい。
しかも透明度が良い日はあちらこちらに見渡せるほど、ひょこひょこと顔を出しています。

オドリハゼ

他にも砂泥質を好むオドリハゼとブドウテッポウエビがいたり、

メナガガザミ

突然出てきたメナガガザミという謎に目が飛び出たカニ。

まさになんじゃこりゃと言いたくなるような不思議な生き物が出てくるのが奄美大島の特徴だと思います。

センネンダイ

あまり他エリアではあまり見れないセンネンダイなんかも奄美大島の海には居着いています。

名前の由来は1000年に1度見れるかどうかの貴重な魚だからということ。
そこまで珍しいかはさておき、他の魚にはない独特の模様が面白い魚ですね。

センネンダイはアプローチが難しい魚ですが、ちょっくんがチームを適切にまとめてアドバイスしてくれるから、ワイドでもこんな感じに撮影することができました。

バイオレットボクサーシュリンプ ホワイトソックス

他にも奄美大島には、甲殻類もたくさん。

ミドリヤというポイントでは通年を通してバイオレットボクサーシュリンプやホワイトソックスなど少し珍しく、色合いも綺麗なエビたちを観察することができます。

奄美大島で観察した生態シーン

ハナゴイのペア

さてここから生態シーン、生き物たちの繁殖やドラマの話。

奄美大島では初夏から夏にかけてはサンセットでニシキテグリの産卵や、夏以外の時期はハナゴイやフタイロハナゴイ、ケラマハナダイなどハナダイの産卵をコンスタントに狙うことができます。

そして産卵を狙ったサンセットダイブも開催されています。

生態というと固いイメージがあるかもしれませんが……
ネバーランドなら面白おかしく、でも真面目に見せてくれるので好きになること間違いなしです。

まずはニシキテグリの産卵から見てきましょう。

ニシキテグリのペア

ニシキテグリの産卵はビーチポイントで観察します。
水深は大体3mくらい。
夕方、日没の1時間ほど前からエントリーをして日没後はニシキテグリも寝てしまうため暗くなったら終了です。

最初は写真のようにオスとメスが追いかけっこをするように、サンゴの隙間を行ったり来たりと縫って泳ぎます。

産卵は撮影できなかったとしても、こういった追いかけっこしてるシーンは比較的撮影しやすいです。

ニシキテグリのオスのアピール

そして日没間近になると、オスがメスを誘い出すように……

アピールしています!
この姿がなんとも美しく派手!

ニシキテグリの産卵上昇

そしてペアが成立すると、寄り添う様にゆっくり浮上して産卵をします。

浮上する速度はそこまで速くないので、オートフォーカスでも追いかけることができます。

そして、そのまま何も邪魔が入らないと……

ニシキテグリの産卵

産卵の瞬間となります!

左側のメスの尾ビレの上あたりに写っているのが卵。
ニシキテグリの卵は比較的大きいので目でも確認することができるサイズです。

産卵の瞬間はやっぱり感動するし、興奮しますね!

なかなかファンダイバーの方だと、ここまでじっくり1つの生物を観察することは少ないとは思いますが、ニシキテグリの産卵は、奄美大島に来たらぜひ見てもらいたいシーンの1つです。

ハナゴイ

他にも奄美大島で観察しやすい生態シーンとしてハナゴイの産卵があります。

ハナゴイはニシキテグリよりも早い時間帯で、まだ暗くなる前の西日の頃に盛んになります。
真っ暗になる前に帰ってこれるのは安心でいいですね!

普段見ているハナゴイのイメージは上の写真で見る様な個体だと思うのですが、産卵前の婚姻色は別次元に美しい。

ハナゴイのオスとメス

見てください!激しいこの色合い!

上の個体がオスで下の個体がメス。
メスのお腹はパンパンで産卵の準備はバッチリの様子です。

そしてオスはヒレを真っ赤に染め、激しくヒレを広げてメスにアピールします。

ハナゴイって優しい薄紫のイメージがありましたが、こんなに力強さを感じる色になるんだと驚きました!

ハナゴイの婚姻色

そして、ちょっくんに教えてもらったのが、ハナゴイが全力で婚姻色になると、胸ビレの間にも緑の斑点ができるという!

こういのも事前に教えてもらえるからこそ、気付けるし、撮影してみようと思えます。

そして、こんなに細かいところまで美しさにこだわるなんてハナゴイすごいな〜!

ハナゴイの産卵上昇

上昇を繰り返したり、メスに逃げられたり、他のオスに奪われたり、たくさんの試練を乗り越え産卵です。

ハナゴイの産卵

産卵の瞬間は上に上昇していくというよりかは、横にスーッと抜けていく様な感じ。

ハナゴイは非常に個体数が多い上に、何度も産卵するので、比較的チャンスは多いです。

そしてちょっくんが、モテるオスからモテなく端っこで頑張ってるオスまで。
そして撮影しやすい個体を教えてくれるので、きっと皆さんにもチャンスはあるはず!

コブシメの交接

また今年の4月に訪れた際はコブシメの産卵が絶好調でした。

コブシメ劇場というにふさわしいコブシメの交接や産卵シーンを目の前で観察することができました!

上の写真は交接の瞬間ですが、このシーンは意外と長く40秒ほど続きました。

目の前で繰り広げられるオスとメスの駆け引き、そしてオス同士の争いや、ずる賢いオスの行動など見てて飽きない光景です。

コブシメの縄張り争い

中央のサンゴの隙間に足を伸ばしているのがメスで産卵をしている瞬間。

そして周りにいるのは産卵が終えるのを待つオスたち。

どんだけギラギラしてるんですか!笑

コブシメのオスの喧嘩

そしてオス同士の喧嘩はゆっくりだけど迫力大!

右側のゼブラ柄のような色彩に変化しているのがオスの威嚇色です。

お互い威嚇をしながら押し合いメスの近くを競います。

動きはゆっくりだから地味だけど、その体色はものすごい!
この色合いのコブシメが見れるのは産卵期のこの時期だけです。

固有種アマミホシゾラフグの作るミステリーサークル

奄美大島のミステリーサークル

奄美大島で観察できる生態シーンといったら、これを忘れてはいけません。

奄美大島の固有種アマミホシゾラフグが作り上げるミステリーサークルです。

このサークルはオスが作る産卵床でメスを呼び込むために作っています。こんなに美しい模様を水中で作り上げる生き物は世界を探してもほとんど見ることができないでしょう。

そしてこのアマミホシゾラフグはその名の通り奄美大島でしか見ることができません。
世界的に見ても大変貴重な光景です。

アマミホシゾラフグ

体長10センチほどのアマミホシゾラフグが、せっせと自分の10倍以上の大きさもあるサークルを作ってくる様子は応援したくなるし、本当に愛くるしい。

約1週間かけてこの巣を作り上げ産卵し、そのあと数日間は卵を守り続けるそうです。

ただアマミホシゾラフグのこのサークルを観察するためにはタイミングもすごく大事!

ぜひそのタイミングはネバーランドのHPを見て下さい。

アマミホシゾラフグについて ミステリーサークルを作る話題のフグ

おわりに

奄美大島のダイビング風景

さて、長いブログをお読み頂きありがとうございます。

今回こんだけ長く書きましたが、とにかく奄美大島の海で伝えたいのは……

穏やかな海で癒されながら、じっくり潜ることができる。
そしてそこには多様な面白さ、奥深さがあるということです。

美しい砂地もあればカラフルな景色もあり、
貴重な生態シーンまで見ることができる。

そんな僕らダイバーにとって最高のシーンを案内してくれるのがネバーランドのスタッフの方々です。

誰にでも心の底からオススメできる。

そんなダイビングショップと美しい海が揃っているのが奄美大島の魅力だと思います。

ぜひみなさんも潜りに行ってみて下さい!

撮影協力:ダイビングショップネバーランド

奄美大島の海の魅力を詰め込んだ映像はこちら!
ぜひ合わせてご覧下さい!

撮影:茂野優太
文章:茂野優太
編集:山本晴美

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