「水中は音のない無重力の世界」
改めてその魅力を感じさせてくれたのが本栖湖のダイビングでした。
本栖湖は富士五湖の1つで豊かな山々に囲まれたダイビングスポットです。
”しーん”と心の底まで響くような静けさは心を和ませ爽やかな気持ちにしてくれます。
ダイナミズムを感じる海の華やかさはありませんが、本栖湖のダイビングでは心が空っぽになるようなリラックスした時間を楽しむことがきます。

本栖湖のダイビングの魅力

本栖湖のダイビングで感じた1番の魅力は”詫び寂び”でした。
いきなり侘び寂び感と言われてもと思う方も多いと思いますので説明します。
本栖湖には川がありません。
つまり水の流れや循環がないんです。
もちろん湧き水や地表が吸収する水があり、ある程度の循環はあります。
しかし基本的にはそこに水はあり続けます。
つまり、いま潜っているこの場所の水が景色すべてが”時の流れを貯め込んで作られた美しさ”なんです。
この”蓄積の美しさ”こそが水中で初めて感じた”侘び寂び”の正体でした。

例えば、大雨が降って土砂が流れた時を想像して下さい。
海だったら潮流によって新鮮な海水が入ってきて泥をさらっていってくれることを期待します。
この潮流が海の美しいソフトコールや魚影を成長させています。
つまり水の循環によって美しさが保たれています。
しかし、湖の場合は潮が入れ替わり洗い流すことはありません。
要するに土砂が沈殿し泥として地面に沈殿することを期待するしかないんです。
つまり蓄積されることによって美しさが保たれるんです。

他にも時の流れという観点から見ても……
海と湖は全く違うんです。
海にも宮古島の水中洞窟など長い年月をかけて作り上げた景色があります。
波が削って作っていった景色は大迫力で、めちゃくちゃ時の流れを感じることができます。
でも、これは波や風といった自然が岩を崩しとっていく過程で大きな力や自然の力を感じることは出来ますが、”侘び寂び”とは違った感覚です。
端的に言うと「大自然のエネルギー」ってやつですね。
しかし、本栖湖のダイビングで見ることができるシルクのような泥の堆積や水中に沈んだ木などを見ていると宮古島の時の流れとは違う流れを感じます。
長い年月をかけて内側から朽ちていく沈木の美しいたたずまい。
そして時を重ねる毎に溜まっていったシルクなような泥の蓄積。
このまるで湖の底に溜まっていくような時の蓄積、そして内側から朽ちていく美しさに”侘び寂び”を感じるのでしょう。

はい!いきなり語ってスイマセン!
まあ、要するに海とは全然違った景色が見れるっていうのが本栖湖の魅力です!

ほら、こんな緑の一面水草だらけの風景なんて、なかなか海では味わえないですよね。
しかも、この水草に無数の生物が隠れているんです。

他にもこんな沈木が見れるのも本栖湖のダイビングならではの景色!
しかも、この木の陰にはブラックバスなど淡水でしか見れない生物が潜んでいるからテンションめちゃめちゃあがります!

こんなまるで月面のクレーターのような景色の場所もあります!
ここは富士山からの湧き水が出ている場所で雨が降った時にだけ見れる大変貴重な光景です。
それ以外にも……
- 淡水なのでウエイトが少なくて良い
- 風や台風の影響を受けない
- 淡水だからサッパリする
- 器材洗わなくてよい
などなど魅力はたくさんあります。
ちなみにベストシーズンは夏で真っ青なブルーの水質になるのも真夏のシーズンだそうです!
水温は気温に比例して夏は25度近くまで冬は10度を下回るまで下がるそうです。
本栖湖ってどこにあるの!?

本栖湖は世界遺産の富士山の麓にある富士五湖の1つです!
富士五湖といえば富士急ハイランドがあることで有名な河口湖やスポーツ合宿で有名な山中湖などがあります。
東京からは車で約2時間と伊豆よりも近く、日帰りで訪れることも全然可能です!
伊豆よりもちょっと近いのでダイビング以外にもSUPを楽しんだりハイキングしたり温泉を楽しんだり山の幸を楽しんだりと、プチ贅沢が出来るのも良い!
本栖湖は最大深度が122mと富士五湖の中で最も深いです。またその影響か最も透明度が高くダイビングするには最適な環境なんですね。</>
本栖湖は標高900mにあります。
そのため高所ダイビングといって少しだけ新たな知識が必要です。
ただ難しいことはあまりなく、現在はダイブコンピューターが自動で減圧の計算をしてくれるので気軽に行くことが出来ますよ!
日本で唯一”高所ダイビング”が出来る場所かもしれませんね。

ある程度、本栖湖のダイビングについてわかってきたところで実際に潜ってきた様子をご紹介したいと思います!
実際に潜ってきた!
今回潜ってきたの2019年10月7日で浅場の水温は22度くらいのまだまだ快適なシーズンでした。
合計3ダイブ、それぞれ違うポイントに潜ってきたので紹介していきます!
※2020年10月以降もダイビングに行き詳細情報を追記しています。
1本目 トンネル下
トンネル下は富士山の噴火の際に本栖湖に流れ入った溶岩を見ることが出来るポイントで、最大30mまで潜ることができます。
エントリーすると、まず目を奪われたのがこの光景!

浅瀬の水草がめちゃくちゃキレイ!!
水深2mくらいのエントリーしてすぐの浅瀬から水草がめちゃくちゃ生えてるんです。
こんな光景、なかなか海じゃ見られないですよね。
しかも透明度が良くて8〜10m近く見えています。

ちょっと進むとホントに全面、水草だらけ!
いきなり!いきなり!
本栖湖のダイビングに心奪われた瞬間でした。

ちょっと進むと溶岩帯へ!
この瓦礫みたいに広がっているものが溶岩が流れ出て固まったものです。
ここは全く色がなく生き物の気配を感じない場所でした。

海だと、こういう溶岩の景色にはソフトコーラルや貝など様々な生物が付着しますが、本栖湖だとホントにありのままの溶岩が冷え固まった景色が残っているんですね。
また岩の質が伊豆の溶岩とは違うので雰囲気も全く違う。
この溶岩帯の合間に出てくるのが……

トンネル下の名物、シルクのような泥!
溶岩地面の間にはまるでシルクのようなきめ細かい泥が堆積しています。
触っている感覚がないくらいスポっと手が泥に吸い込まれるのが不思議な感覚。
手を動かすとまるで地面が揺れているかのようにプルプルと動いて面白い。

手を抜くと、ぶわーーっと砂煙が!
そう本栖湖でダイビングする時は砂の巻き上げには気をつけましょう!
一瞬で視界が見えなくなります。
レギュレーター内部に泥が入るとフリーフローの恐れがあるので全身突っ込まないように注意して下さい!
このあと、本栖湖だいぶリゾート・オーナーガイドの古屋さんに「ちょっと気合い入れてね。」と言われ深場へ降りていくと、

なんと水温13度・・・
めちゃめちゃ寒すぎる!!
「ひえーーーーっ」と逃げるように浅瀬に帰ってくると古屋さんは満面の笑み。
本栖湖のダイビングの面白いのが水深によって水温が全然違うこと。
この体が一瞬で冷える感覚はある意味新鮮で面白かった。

最後はこんな感じの台座みたいな溶岩を見たり、

謎の存在感を醸し出す沈木を見てエキジットしました。
まだ1本目ですが、完全に本栖湖ダイビングにハマっている自分がいました。
2本目 ホーンテッドマンション
今度は本栖湖で1番有名な大きな沈木があるポイントです。
みなさんが本栖湖のダイビングの風景でよく見る写真が撮れる場所ですね。

まずは、浅瀬から歩いてエントリーしていきます!
ちょっと天気が微妙なのが残念ですがホーンテッドマンションという今にもお化けの出てきそうなポイント名とこの天気は妙にしっくりきました。
最初は大きな岩があるエリアの暗がりでナマズを探そうということだったんですが、

普通にいた。
水草の間で休んでいました。
近づいて写真を撮ろうとすると一瞬で逃げられた。

ナマズってこんな速く泳ぐんだ。
ってか人生初です。ナマズを見たの。

他にも途中で本栖湖に生えているというマリモを観察しました。
本来はマリモは丸くなっていなくて、岩などに付着しています。
さて、目的のナマズをすぐに見れたので沈木エリアに移動します。

僕が水草とかの写真を撮っているとガイドの古屋さんが待ちくたびれてしまっていました。
人が乗っても大丈夫な大きな木が倒れています。
ここで集合写真を撮ったりすると盛り上がるんだって!

ついにやってきました!!
メインの巨木!
確かにこの不格好に折り曲がった枝がホーンテッドマンションというか小さい頃にみたディズニー系のホラー映画に出てくる雰囲気にそっくり。
(あれ?ディズニーにホラー映画なんてあったけ?)
なんとも言えない魅力があります!

しかもこの巨木にはブラックバスがたくさん隠れています!
外来魚として有名なブラックバス。
水中で優雅に泳ぐ姿は確かに捕食者の表情をしていました。

やっぱ不思議な光景だな〜
まるで森の中で潜っているような感覚。
(正確には森の中にある湖で潜っているので正しいのかもしれませが)
ハロウィンではこの巨木を赤や紫にライトアップしてナイトダイビングをするんですって!見てみたい!
3本目 湧き水
最後は湧き水ポイントで地面から湧き出てくる水を感じに行くことが出来るポイントです。
まるでその景色は月面のようで月面散歩をしている気分になります。

エントリーはいつもと同じように湖畔から。
ここは泥地で平坦なポイントです。
ちょっと進んでいっても……

こんな感じで代わり映えのしない雰囲気。
それが急に、ぼこっと地面に穴があいてる場所が現れます。

まるで月面のクレーターのように。
この穴からは湧き水が出ていて、穴の奥は泥で見えません。

おおーーーーー。
なんか地球の底まで続いていそうな奈落の穴。
こんところにはハマりたくな……
なんて思っているとめちゃくちゃ冷たい!!!!
そりゃそうです。湧き水なんで湧き出ている場所は水温12度です。
手がかじかむ。

小さな湧き水のところはポコポコと可愛い感じ。
やっぱこんな独特な景色は海にはないですよね。
本栖湖以外でこの感じを味わいたいなら、もう月に行くしか。
今回は晴天が続いた後だったので湧き水の量が少なく月面のクレーターのようにとまではいきませんでしたが、湧き水が多い日はホントに泥が盛り上がってクレーターのようになるらしいです。
これは絶対リベンジしなきゃですね。

2020年の梅雨の時期に見に行ったクレーターがこちら!
もくもくと湧き水が出ている光景は本当に異様で、めちゃめちゃ感動しました!
本栖湖のダイビングで見られる生き物

本栖湖では様々な淡水魚を見ることができます。
今回見ることができた魚でも左上からナマズ、ブラックバス、ヌマチチブ、ギギなど盛りだくさん!
写真には撮れませんでしが、オイカワやアユ、ヒメマスやスジエビなども観察できます。
淡水魚って普段、海で見る生き物と違って地味なのが多いですが、素朴な感じがまた良いですね!
本栖湖の山の幸が絶品すぎる!

海では海の幸を山では山の幸を楽しんで欲しい。
今回お世話になった本栖湖ダイビングリゾートの隣の「松風」さんといお食事どころでは、ジビエ(鹿肉)の料理を食べることができます。
ここの鹿肉は臭みなど全く無くしかも柔らかくて本当に美味しい。
正直、食事にあまり興味ない僕でもこの美味しさには思わず笑みがこぼれました。
(たぶんカメの刺し身以外、このブログで食べ物は紹介したことないはず。)
ぜひ本栖湖にダイビングに行って、ついでに山の幸も一緒に楽しんでみて下さい!
おわりに

本栖湖のダイビングで感じる”侘び寂び感”
なかなかダイビングというレジャーで侘び寂び感を感じることは少ない思います。
海とは違った穏やかな魅力。
よく湖みたいに穏やかとか言いますが、ここ湖ですからね!
そして海水と違ってベタベタしない爽やかな感じは本栖湖にダイビングした人しかわからない。
ぜひ水中にある侘び寂びを感じに本栖湖潜ってみて下さい!
本栖湖の雰囲気を映像で見たい方はコチラも一緒に!
今回お世話になったショップ
本栖湖で感じた魅力は”侘び寂び感”。空気感や時の流れは海とは全く違うんです。