夏本番を迎える西伊豆・土肥「小下田エリア」に潜る!魚影・地形・華やかさ抜群の海!

 

夏本番を迎えた伊豆半島の海。

海も山も豊かな伊豆半島は多くの観光客で賑わう、まさにハイシーズン!

そして水温も温かく、海況も穏やかな夏は多くのダイバーが訪れ、海も大盛り上がり。

伊豆によく潜るダイバーからすると、なんとなく避けがちな時期かもしれませんが、この夏の時期にこそ面白いのが土肥の小下田エリアなんです!

小下田エリアは、土肥ダイビングサービスの目の前の港から船で走ること15分ちょっとという遠征ポイントで、海が安定する夏から秋にかけてが最も行きやすいんです。

そして土肥の中では最も沖に突き出たエリアで黒潮が当たると抜群に透明度が上がり、魚影も抜群!

僕もここ数年、夏は毎年訪れるダイビングポイントです。

さらに土肥の海にはダイビングサービスが1件しかないため、ボートダイビングで他の船がやってきて水中がダイバーだらけ……なんて事もないんです!

混んでいるシーズンでもゆったり潜ることができます。

今回は土肥ダイビングサービス協力のもと、夏の小下田エリアで2日間にわたって撮影をしてきました。

夏の期間限定の「とび島沖パートⅡ」や「鷹の巣」から、ベストシーズンの「とび島沖」、そしてメインの「サク根」まで、小下田エリアの全てのポイントの様子をお伝えします!

1本目:とび島沖パートⅡ

まずは深度的に1番深くなりやすい「とび島沖パートⅡ」から潜ってきました。

「とび島沖パートⅡ」は、水深40〜50mの砂地からトップ20mまで大きな隠れ根がそびえ立つ、潮あたりの良いポイントです。回遊魚とそれを狙う捕食者、つまり大物が集まってきやすいという特徴があります。土肥随一のワイルドなポイントです。

ポイントにはブイがあり、船を係留して潜降ロープで根のトップまで降りていくことができます。ポイント的にも大きく連なった山脈のような根の周りを潜るので、移動範囲もそこまで大きくなく潜ることができます。

水中はとにかく華やか!

土肥ダイビングサービスのオーナーガイド・金原さん曰く、「一生分のキンギョハナダイに出会えるポイント」なんだとか。

確かに潮がうまく当たった時のキンギョハナダイの密集度合いはすごいものがありました。

時期的にはまだ小さい個体が多い時期でもあったので、写真にすると小さく見えてしまうかもしれませんが、本当に根を覆うほどのハナダイが群れていて華やかです。

また、根に着いて最初に感じるたのが、土肥の海も他の伊豆半島のダイビングポイントに引けを取らず、海底環境が豊かであること。

潜降して根に着いた瞬間には、既にこんな感じでハナミノカサゴがソフトコーラルの周りを優雅に泳いでいました。

3分くらい泳いで潮の上に出ると、もうこの景色!

キンギョハナダイの大群とソフトコーラルの群生に出会うことができます。

写真を見てお分かりの通り、ソフトコーラルだけじゃなくてウミシダ類も多く、岩肌に華をそえます。

また土肥の海で注目してほしいのが、この緑のナンヨウキサンゴです!

なかなか伊豆半島では珍しい光景ですよね。
まるで南国のような雰囲気を醸し出していました。

ここにキンギョが集まってくれたら本当に最高なんですが、こればっかりは潮次第。

土肥は冬限定の沖漁礁も含めて、どのポイントもナンヨウキサンゴが多いイメージがあるため、狙えるチャンスはたくさんありそうです。

他にも一面イボヤギの壁もあります。

1種類ではなく、様々なソフトコーラルが群生していることに海の栄養の豊かさを感じます。

伊豆半島はどのポイントも黒潮の影響や川からの栄養、複雑な地形、中には温泉が湧き出るポイントなどもあり、豊かな海だなぁと感じることが多いのですが、間違いなく土肥もそのその1つだと思います。

伊豆半島という一括りでみると、似たような雰囲気になってきますが……

ポイントごとに魚の群れ方や、生えているソフトコーラルが違って、写真を撮ると、それぞれ違った雰囲気になるんですよね。

そして、いる生物がちょっとづつ違ってくるのも面白い。

例えば、このスジアラ!

奥の白っぽい個体がオスの婚姻色で手前がメスの個体です。

オスがメスにアピールするように体の色を変え、体をくねらせ近寄っている様子がなんとも愛らしく、そして初めて見ました。

ブリーフィングで夏の時期はオスの婚姻色が見れることが多いと金原さんが教えてくれましたが、確かに水中で何度か見ることができました。

クリーニングや求愛のタイミングには、スジアラに間近まで寄れることが多かったです。

最初はハタかぁ〜と思って興味半分くらいだったのが正直な気持ちでしたが、寄れるし、動きが面白いし、最終的には根の上に5個体くらい集まってきて、強い個体や弱い個体、オスメスの動きと、様々見れて本当に面白かったです。

2本目:とび島沖

2本目は通常オープンの「とび島沖」に潜ってきました。

このポイントは1本目の「とび島沖パートⅡ」の隣のポイントで、個人的にはパートⅡより地形的複雑性があり、ソフトコーラルの量も多くバリエーション豊富なのが面白いというイメージです。

ブイはトップが6mの根に付いているので安全停止まで、じっくり遊んだり、撮影することできます。

水中にはマップのようにいくつもの沈み根があり、根から根へとジャンプしながら水中を回ります。

この根を回っている最中にイサキの大群に巻かれたり、回遊魚と出会うことができるポイントです。

もちろん「とび島沖」もキンギョハナダイの量も多いのですが、小下田エリアはどこを潜っても大体、根はキンギョハナダイで覆い尽くされています。すごい!

根のトップを離れて、マップでいう中央の窪地の部分に入ると、サビカラマツやヤギ類が出てきて、また少し違った雰囲気を作り出してくれます。

恐らく根に囲まれた中央は潮がダイレクトに当たるだけじゃないため、根のトップとはまた違った海底環境が見られるのも面白いですね。

本当に至る所にこんな感じのソフトコーラルに覆われた根があり、どこを撮っていても楽しい!

願わくば中層で出会ったイサキの群れがここに降りてきてくれたらなぁ。
なんて考えながら撮影していました……笑。

流石に、そんなに運良くは現れなかったですが、他のエリアではこんな感じにイサキが降ってきました。

イサキはダイバーに驚くと根に沿って逃げていくため、ガイドの金原さんがうまくイサキを誘導してくれたおかげで、ソフトコーラルと一緒に撮影することができました。

そしてこの景色こそ、伊豆だよね!と思う光景です。

窪地にはちょっとした地形もあり、中にはテングダイがいました。

ハナダイから、イサキの群れに、ソフトコーラルに、こんな地形まで1本で回るんだから、本当に忙しい。

じっくり撮影したい人や遊びたい方は絶対ナイトロックスがいいですよ!
時間があっという間です。

ナイトロックス利用の場合は本数に限りがあるらしく、事前にご連絡下さいとのことでした。

今回はワイドの取材だったのでマクロはあまり探さなかったのですが、それでも「とび島」ではタテジマキンチャクダイの幼魚がいたり「とび島沖パートⅡ」ではハタタテハゼが3個体固まっていたりと、やはり黒潮の当たる潮当たりの良い場所なんだなと実感することができました。

3本目:サク根

2日目は小下田エリアの最もメインのポイント「サク根」に潜ってきました。

サク根は水深70mから水面までそびえたつ非常に大きな根で、その周囲を潜ります。

スコーンと透明度が抜けた夏の晴れた日は、この地形の周りを潜っているだけでワクワクが収まらないポイントなんです。

このポイントだけはブイがなく、ドリフトで入りますが基本的には根沿いで潜るため、外洋をガンガン泳ぐという感じではないので安心してください。

個人的には北側の水深20m前後にある盛り上がりの部分に群れるキンギョハナダイとソフトコーラルの光景が伊豆の中でもトップクラスのカラフルな華やかさで好きな場所です。

このポイントもトサカ類から、ヤギ類、そしてナンヨウキサンゴ、ハナダイと美しい光景の広がる場所です。

そしてこのエリアのちょっと変わった景色がこれです。

なんと少し深度を落とすと、ムチカラマツやウミウチワに溢れんばかりのナシジイソギンチャクが付着していて、独特の雰囲気を作り上げています。

いままで、たくさん潜ってきましたが、ここまでナシジイソギンチャクが生えてる場所は見たことありませんでした。

と言ってもナシジイソギンチャクがどこまで普通のダイバーに面白いと思ってもらえるかはわかりませんが、物好きの方はぜひリクエストしてみて下さい。

まだ、もう少し撮り切りたい光景ですが……ナシジイソギンチャク、ハナダイ、イサキをコラボで追い求めて行こうと僕は決心しています!笑

通常の楽しみ方に戻ると、やっぱりサク根も魚影が濃い海です。

今回は北側の水路のようなところをイサキが行ったり来たり、ぐるぐるしていました。

他にもシラコダイやチョウチョウウオも多く、落ちていくものに反応して集まっている様子や、集まってエサをついばむ光景がたくさん見れました。

青い海に黄色のチョウチョウオ系の魚はやっぱり映えますね!  

またサク根は洗岩といって、水面に少しだけ顔を出し、波が被る岩なので波が崩れるこんな景色を撮影することもできます。

台風のうねりがうっすら残る中での撮影だったため、この洗岩がすごくいい雰囲気を出してくれました。

意外とこういう景色が撮影できる場所は、伊豆半島でも少ないんじゃないかなと思います。

4本目:鷹の巣

最後は少し変わり種で「鷹の巣」という夏期限定の地形ポイントへ!

このポイントは最大水深15m前後で陸地に近いポイントで、流れも少なく初心者でも楽しめるポイントです。

1本目に「サク根」や「とび島」で少し深く潜った後に、サクッと雰囲気を変えて「鷹の巣」で地形ダイビングなんて、素敵な流れだなぁと思いました。

大小無数の洞窟があり、その間を縫うように泳いで回るポイントです。

といっても本格的な洞窟ではなく、大きな岩の下を通るようなポイントなので安心を!

雰囲気は雲見の「黒崎」に近いイメージが良いと思います。

この日は夏の強い日差しが入った日で、光が美しく、どこを撮っても映える日でした。

途中ガイドの金原さんがモデルをしてくれるのですが、さすがテクニカルダイビングをやってるだけあって、水中姿勢がカッコいい!

また別の穴の中にはキンメモドキの大群が!

通り抜けることができる大きめの洞窟なのですが、奥が見えないほど密集したキンメモドキがキラキラとうごめき幻想的な雰囲気を作っていました。

「鷹の巣」の洞窟にはキンメモドキやハタンポが群れることが多いそうで、地形だけではなく魚が多いのが伊豆半島の良さだなあと思います。

水深も浅く時間があったのでスローシャッターで!

小下田エリアは土肥ダイビングサービスしか潜っていないため、他のチームに会うこともなく1チームで地形を楽しむことができます。

撮影を楽しめたり、じっくり潜ることができるのも小下田エリアの良さですね。

最後は根の上でちょっとしたテーブルサンゴを!

水深8〜5mくらいの浅い水深にはテーブルサンゴがあり、そこにはメガネゴンベなどが付いていて、マクロ生物も面白かった!

小下田エリアは土肥の港から約15〜20分、ダイビングの合間はどうしてるかというと、小下田にある小さな漁港・米崎港で休憩しています。

ちゃんと綺麗なトイレもあるし、海に入ったりしながら休むのも夏休みみたいで楽しい!

僕はこの米崎港で過ごす時間も西伊豆のアットホームな雰囲気があっていいなぁなんて感じて楽しんでいます。

土肥ダイビングサービス

西伊豆の玄関口、土肥にあるダイビングサービスです。

夏の小下田エリアはもちろん、ビーチでの講習や近場の八木沢エリアでボートダイビングなどマクロからワイドまで潜れるポイントが多数あります。

西伊豆というと、どうしても遠いイメージがありますが、土肥は大瀬崎や井田に行くのと+10分くらいしか変わらないお手軽さ。

施設も広くて綺麗で快適です。

コンビニや温泉街が目の前で、ダイビング後にのんびり過ごしたい方にもおすすめです!

ぜひみなさん訪れてみて下さい。

おわりに

ついつい土肥のダイビングというと、昔の講習を受けたイメージを思い出してしまいますが、その時の印象とは全然違うんじゃないでしょうか?

伊豆半島でワイドが楽しめるポイントはたくさんあります。

僕が今まで紹介した中でも伊東や田子や雲見、熱海、淡島、確かにどこも面白い海です。
その1つに土肥の小下田エリアも入ってくると思います。

ただし、風やうねりに弱いポイントです。
小下田だけクローズになる可能性もあり、どうしてもワイドで小下田って方は事前に予約の際に小下田エリア希望の場合は伝えておいて下さいね。

ぜひ、皆さん!
まずは1度見に行って見てください!

ソフトコーラルの楽園!土肥の冬季限定ポイントの「沖漁礁」がアツい!

 

ちなみにこの記事を冬の時期に読んだ方は冬の期間限定ポイントもめちゃくちゃ面白いので、ぜひこの記事も併せて読んでみて下さい!

撮影協力:土肥ダイビングサービス

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